札幌地方裁判所 昭和49年(わ)66号 判決 1974年5月07日
本籍
北海道虻田郡虻田町字洞爺湖温泉町七一番地
住居
同右
会社役員
越後寔
明治三九年八月一七日生
本店所在地
北海道虻田郡虻田町字洞爺湖温泉町七一番地
株式会社越後屋デパート
代表者の氏名
越後寔
右の者らに対する法人税法違反被告事件について検察官宮崎徹郎出席のうえ審理し次のとおり判決する。
主文
一、被告人越後寔を懲役八月に処する。
この裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
二、被告人株式会社越後屋デパートを罰金八〇〇万円に処する。
三、訴訟費用は被告人両名の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社越後屋デパートは、北海道虻田郡虻田町字洞爺湖温泉町七一番地に本店を置き、土産品小売販売等を事業目的とするものであり、被告人越後寔は、右会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人越後寔は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部や家賃収入を除外し昭和四七年度においては更に期末棚卸商品の金額を圧縮して簿外預金を設定するというような不正な方法により所得を秘匿したうえ、
第一、昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の所得金額が三、〇六三万六、四〇〇円であり、これに対する法人税額が一、〇七七万〇、九〇〇円であるにもかかわらず、昭和四六年二月二六日、室蘭市新富町一丁目所在の所轄室蘭税務署において、同税務署長に対し、所得金額は八一六万一、三五〇〇円であり、これに対する法人税額は二五三万四、四〇〇円である旨の内容が虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額八二三万六、五〇〇円を免れ
第二、昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の所得金額が四、二一八万三、二六八円であり、これに対する法人税額が一、四八一万一、七〇〇円であるにもかかわらず、昭和四七年二月二二日、前記所轄税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一、一六八万五、六〇五円であり、これに対する法人税額は三六三万五、四〇〇円である旨の内容が虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額一、一一七万六、三〇〇円を免れ、
第三、昭和四七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の所得金額が三、八四一万一、三一八円であり、これに対する法人税額が一、三三三万三、〇〇〇円であるにもかかわらず、昭和四八年二月二六日、前記所轄税務署において、同税務署長に対し、所得金額は六三五万〇、四五六円であり、これに対する法人税額は一六一万八、〇〇〇円である旨の内容が虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額一、一七一万五、〇〇〇円を免れた。
ものである。
(証拠の標目)
一、閉鎖商業登記簿および商業登記簿の各謄本
一、調査事績報告書四一通、作成名義人は、藤原昭三および伊賀猛(二通)、藤原昭三(二二通)、山本二郎を含む分(七通)、森三雄、三木田勝美を含む分、館修を含む分(二通)、伊賀猛および福泉柳一、伊賀猛(五通)
一、上申書四通、作成名義人は、高橋弘、小川恒、山口真介、大槻文雄
一、堀昌二郎作成の供述書
一、証明書一一通、作成名義人は、高橋弘、川口晃右、海老名五郎、岩木貞和、原田孝男、北野耕造、松原亮治、高木昇、寺木清次、葛西晃、加藤浩三
一、答申書一三通、作成名義人は、中田剛、星憲治、岡安勇夫、佐藤敏郎、広瀬ハル、谷口博、五十嵐十四、田中清男、安田虎治、出田明、菅井英治、斉藤成也、岩本一枝
一、葛西晃作成の「保護預り元帳等の写の提出について」
一、質問てん末書三五通、応答書は、神村明、妻木ハツヨ、佐藤敏郎、豊島ミサヲ、広瀬ハル、山田正之、鶴野昭三、大槻文雄(三通)、相馬健治郎、中村喜一、出田明、安達次郎吉、川崎玲子、高橋栄治郎、高橋誠一郎、岩本進午、島宮勇造、梅田光蔵、池沢優、越後キク(五通)、越後進(六通)、越後正利、北村義郎、佐々木忠義
一、北村義郎作成の報告書
一、大槻文雄の検察官に対する供述調書
一、越後キク作成名義の報告書
一、越後キクの検察官に対する供述調書
一、越後進の検察官に対する報告書
一、北村義郎作成の上申書作成に至る経過報告書
一、藤原昭三作成の被告人越後寔に対する質問てん末書八通
一、被告人越後寔作成の供述書
一、被告人越後寔の検察官に対する供述調書二通
一、藤原昭三作成の脱税額計算書三通
一、領置してある昭和四五年度総勘定元帳(証号の二)、昭和四六年度元帳経費帳・現金出納帳(証号の二三)、四七年経費明細表(証号の三二)、昭和四七年棚卸原簿(証号の四一)
(法令の適用)
判示各所為は法人税法一五九条一項、一六四条一項にそれぞれ該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人趣後寔につき所定刑中いずれも懲役刑を選択したうえ同法四七条本文一〇条により最も重い第一の罪に法定の加重をした刑期範囲内で、同被告人を懲役八月に処し、同法二五条一項により三年間右刑の執行を猶予し、被告人株式会社越後屋デパートにつき、同法四八条二項により罰金の合算金額内で、同被告人を罰金八〇〇万円に処し、訴訟費用の負担につき刑事訴訟法一八一条一項本文により被告人両名の平分担負担とする。
(裁判官 渡辺一弘)